オリヅルセラピューティクス、iPS細胞由来の再生医療等製品の研究開発型企業として始動
日本で生まれ育ったiPS細胞関連の科学技術を通じ、社会や患者さんに貢献します

オリヅルセラピューティクス株式会社(本店:京都府京都市、事業所:神奈川県藤沢市、代表取締役:野中健史、以下「OZTx」)は、iPS細胞由来の再生医療等製品の開発事業とiPS細胞技術の利活用事業に特化した研究開発型企業として、湘南ヘルスイノベーションパーク(以下「湘南アイパーク」)において2021年6月1日より業務を開始していることをお知らせいたします。

2015年、京都大学iPS細胞研究所(以下「CiRA」(サイラ))と武田薬品工業株式会社(以下「武田薬品工業」)は、iPS細胞技術の実用化研究を加速させ、再生医療の社会実装や創薬開発に早期に繋げることを目的とし、共同研究プログラムT-CiRAの実施に合意しました。実働10年間に亘るT-CiRAプログラムの責任者は、山中伸弥京都大学教授(CiRA所長兼公益財団法人京都大学iPS細胞研究財団理事長)が務め、武田薬品工業は総額200億円の研究資金提供および湘南アイパークにおける人的/施設提供等のサポートを行っています。このたび、T-CiRAプログラムにおける2つの細胞治療プロジェクトの非臨床試験での有効性が検証されたことに基づき、両者はこれら2つのプロジェクトの研究資産を、新たに設立されたOZTxに移管することに合意しました。

OZTxは、2つの大きな事業の柱からスタートします。1つ目の柱は、T-CiRA プログラムで非臨床試験での有効性が検証された2つのプロジェクト;吉田善紀プロジェクトリーダー(CiRA准教授)により開発されたiPS細胞由来心筋細胞を用いたプロジェクトと、豊田太郎プロジェクトリーダー(CiRA講師)により開発されたiPS細胞由来膵島細胞を用いたプロジェクトを、臨床応用に導くことです。なお、OZTxは、iPS細胞由来心筋細胞とiPS細胞由来膵島細胞の知財を保有する京都大学と武田薬品工業との間で、両プロジェクトの再生医療等製品の研究開発および提供を行うための特許権譲渡・研究資産使用許諾契約を締結しています。2つ目の柱は、iPS細胞の分化、培養、精製等に関する卓越した技術の利活用を通じ、創薬研究支援や再生医療研究基盤整備を行い、iPS細胞技術の社会実装を強力に支援することです。OZTxは、iPS細胞関連の事業活動を地域や社会と共有し、iPS細胞による再生医療が患者さんや社会に適切に届くよう貢献します。

OZTx の始動に際し、T-CiRAプログラムの責任者である山中教授は「アカデミアと武田薬品工業の研究者がワンチームとなり取り組むT-CiRAプログラムから得られた革新的なiPS細胞研究の成果が、その早期社会実装に向けて、OZTxに受け継がれることを非常に嬉しく思います」と述べています。なお、T-CiRAからの研究開発の継続性を考慮し、山中教授をOZTxにおける科学技術諮問委員会の議長に招聘しています。また、T-CiRAプログラムの武田薬品工業側の責任者であるT-CiRAディスカバリー梶井靖ヘッドは「OZTx設立により、T-CiRAの研究成果を具体的な治療手段として難病に苦しむ患者さんへ届ける道筋が強化されたことを大変頼もしく思います」と述べ、革新的なiPS細胞研究成果の社会実装へ向けて協力して取り組んで行くとしています。

OZTxは、約60名の従業員から成る組織です。それぞれが最先端のiPS細胞に関する技術やノウハウ、あるいは卓越した医薬品研究開発の経験を持っています。また、その全ての社員一人一人が、「iPS細胞を社会に、そして患者さんに届ける」ことに対する強い使命感を持っています。代表取締役は、医師・医学博士である野中健史が務めます。さらに、「日本で誕生したiPS細胞技術を再生医療として患者さんに届ける」という使命に心から共感を頂き、OZTxが実施した総額60億円規模の第三者割当増資には、以下の通り多くのパートナーの参加を得ています。

  • シードラウンド:京都大学イノベーションキャピタル株式会社、武田薬品工業株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社
  • シリーズAラウンド:株式会社三菱UFJ銀行、SMBCベンチャーキャピタル株式会社、株式会社メディパルホールディングス、三井住友ファイナンス&リース株式会社、三井住友信託銀行株式会社、日本ベンチャーキャピタル株式会社

OZTxは、提供する製品やサービスについて、高い品質や優れた工程を経てお届けすることをお約束します。日本で生まれ育ったiPS細胞を通じ、社会と患者さんへ再生医療を届けるために貢献して参ります。

以上

◆◆◆◆◆◆◆◆

iPS細胞由来心筋細胞(iCM)について

iCMは、CiRAの吉田善紀准教授をプロジェクトリーダーとして開発されたiPS細胞由来心筋細胞です。CiRAにおいて研究を進めてきた心筋分化法を、T-CiRAプログラムにおいて見出された低分子化合物を用いた心筋精製法などを用い、さらに実用化に向けて改良を進めています。iCMは、高い生着能を有し、かつ純度の高い安全な心筋細胞で、患者さんの心臓に移植することにより、病気の進行に伴い失われた心筋細胞を補充し、再筋肉化を促すと期待されています。これまで治療が難しいとされてきた重症心不全の心機能が回復し、患者さんのQuality of Life(QOL)ならびに生命予後の改善が期待できます。

iPS細胞由来膵島細胞 (iPIC) について

iPICは、CiRAの豊田太郎講師が見出した膵分化誘導法を土台に、T-CiRAプログラムでの5年間の研究を経て開発された、細胞治療への応用に適したヒトiPS細胞由来膵島細胞です。iPICは、成熟した膵β細胞様の細胞を生体の膵島と同程度に含む高純度の膵内分泌細胞凝集塊です。移植後、生体内でグルカゴン陽性細胞を含んだ膵島構造を形成し、血糖値の変化に応答した生理的なインスリン分泌能を発揮することで、移植後の糖尿病患者さんの病態コントロールに役立つと期待できます。

◆◆◆◆◆◆◆◆

<オリヅルセラピューティクス株式会社(OZTx)について>

2021年4月に京都大学イノベーションキャピタル株式会社によって設立されたOZTxは、「科学の無限の力で世界により良い健康への希望をもたらす」というビジョンを掲げています。患者さんに細胞医療を届けるために、以下の事業内容を通じて、再生医療等製品および革新的なiPS細胞関連技術の社会実装を推進します。

  1.  細胞移植による再生医療等製品の開発
  2.  iPS細胞関連技術を利活用した、創薬研究支援および再生医療研究基盤整備

詳細については、https://www.orizuru-therapeutics.com/をご覧ください。

<T-CiRA(Takeda-CiRA Joint Program for iPS Cell Applications)について>

CiRAと武田薬品工業の10年間の共同研究プログラムとして2015年に合意、2016年より研究活動を本格始動しました。武田薬品工業が200億円超の研究費用を提供し、CiRAの山中教授の統括指揮のもと、CiRAおよび東京医科歯科大学、理化学研究所から参加している研究者のリードによる複数の研究プロジェクトを実施しています。具体的にはがん、心不全、糖尿病、神経精神疾患、および難治性筋疾患などの疾患領域におけるiPS細胞技術の臨床応用に向けた最先端の研究を行っています。詳細については、https://www.takeda.com/jp/what-we-do/t-cira/をご覧ください。

<京都大学iPS細胞研究所(CiRA)について>

国立大学法人京都大学に、2010年4月1日に設立されました。世界初のiPS細胞に特化した先駆的な中核研究機関としての役割を果たすことなどを目的としています。現在、山中伸弥教授を所長として、約30の研究グループが基礎研究や臨床応用に向けた研究、倫理的課題の研究等に取り組み、iPS細胞を用いた再生医療や創薬の実現を目指しています。詳細については、https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/をご覧ください。

<京都大学イノベーションキャピタル株式会社(京都iCAP)について>

京都iCAPは、京都大学100%出資子会社として、京都大学を中心とした国立大学から生まれた研究成果を活用する企業を対象に投資やその他の事業支援を行っております。現在、総額160億円のイノベーション京都 2016 投資事業有限責任組合(以下「KYOTO-iCAP1号ファンド」)(2016年1月設立)と総額 180億円のKYOTO-iCAP2号ファンド(2021年1月設立)を運営しています。KYOTO-iCAP1号ファンドの満期は最長20年、KYOTO-iCAP2号ファンドの満期は最長17年に設定しており、基礎研究に強みを持つ京都大学の研究成果の実用化を長期にわたって支援することが可能となっています。また、KYOTO-iCAP2号ファンドでは、一部資金を京都大学以外の国立大学発ベンチャーに投資することとしています。詳細については、https://www.kyoto-unicap.co.jp/をご覧ください。

<武田薬品工業株式会社(武田薬品工業)について>

武田薬品工業は、研究開発型の世界的製薬企業を目指して、自社研究開発を強化するとともに、ライフサイクルマネジメントの推進、導入・アライアンスの積極展開を通じて研究開発パイプラインの充実を図り、ミッションである『優れた医薬品の創出を通じて人々の健康と医療の未来に貢献する』の実現に努めています。詳細についてはhttps://www.takeda.com/jp/をご覧ください。

<湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)について>

湘南アイパークは、2018年4月に武田薬品工業によって設立された製薬企業発のサイエンスパークです。幅広い業種や規模の産官学が結集し、ヘルスイノベーションを加速する場となることを目指しています。製薬企業のみならず、次世代医療、AI、ベンチャーキャピタル、行政など120社以上、計2100人以上(2021年8月現在)の企業・団体がエコシステムを形成しています。詳細はhttps://www.shonan-health-innovation-park.com/をご覧ください。

◆◆◆◆◆◆◆◆

本件に関するお問い合わせ
株式会社コスモ・ピーアール
担当:外川(とがわ)、浅野
OZTx@cosmopr.co.jp
TEL:03-5561-2915