iPIC事業関連の論文が掲載されました。「均一な膵島様細胞凝集塊の大規模生産のためのマイクロウェルバッグ培養」

ブリットル型I型糖尿病(1型糖尿病の中でも、高血糖と低血糖がくり返しおきるような、血糖が不安定なタイプの1型糖尿病)の治療法としては、膵島移植が有力な選択肢です。患者さん1人への1回の膵島移植には105–106個の膵島(内分泌細胞のクラスター)が必要と考えられています。しかしながら、ドナー不足に加えて膵島サイズやドナー間における品質の不均一性がこの治療法普及の妨げの原因の一つとなっています。均一なサイズのクラスターを作製することは、従来型のマイクロウェルプレートを用いても可能ですが、臨床に向けた製造施設での使用には不向きな点がいくつもありました。

末永亮 主任研究員(東洋製罐グループホールディングス株式会社 綜合研究所)、当社主任研究員である小長谷周平、および当社サイエンティフィックアドバイザーである豊田太郎 講師(CiRA増殖分化機構研究部門、T-CiRA、現 CiRA未来生命科学開拓部門)らの研究グループは、均一な細胞クラスターを大規模(105–106クラスター)に作製するための新しいバッグ培養法の開発を目指しました。下面にマイクロウェルを備えた小スケール培養バッグ(<105クラスター)を作製し、未分化iPS細胞やiPS細胞由来膵島細胞(iPIC)を用いて、取り扱いに適したホルダーや必要な培養要素を決定しました。また、現行の膵島移植に求められている規模にウェル数を増やした大スケール培養バッグを作製し、6.5×105個の均一なiPICクラスターの作製に成功しました。本作製法では細胞播種前の脱気プロセスと培養終了後の回収プロセスを簡素化することができました。本研究で開発した培養バッグを用いた細胞クラスター作製法は、拡張性、無菌性および操作性のいずれの観点からも臨床および研究両方の用途に役立つことが期待されます。

この研究成果は、2022年3月25日(英国時間)に英国科学誌「Scientific Reports」にオンライン公開されました。

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詳細は京都大学iPS細胞研究所 CiRAのウェブサイト(外部サイトに遷移します)をご覧ください。

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オリヅルセラピューティクス株式会社 広報担当

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