iPIC事業関連の論文が掲載されました。「サイクリン依存性キナーゼCDK8/19阻害はヒトiPS細胞からの膵島様細胞の分化誘導において重要な役割を果たす」

糖尿病の根治的な治療法として、ES細胞やiPS細胞などのヒト多能性幹細胞から作製した膵島様細胞の移植が期待されており、オリヅルセラピューティクス株式会社(以下「当社」)ではヒトiPS細胞由来膵島細胞(iPIC)の製品開発を進めています。製造工程で用いる培地成分や分化誘導因子等への暴露による最終製品への影響を最小化し、より安全性の高い細胞を作製することおよびその品質管理を行うことは、細胞移植製品開発において非常に大きな課題です。

当社主任研究員である佐久間健介、および当社サイエンティフィックアドバイザーである豊田太郎 講師(京都大学iPS細胞研究所(CiRA)未来生命科学開拓部門、元タケダ-CiRA共同研究プログラム(T-CiRA)PI)らの研究グループは、iPIC作製過程で使用する分化誘導因子の安全性リスク評価を行いました。その結果、ES細胞やiPS 細胞から膵島様細胞集団を分化誘導する過程で世界的に広く用いられている誘導因子の1つ、ALK5 inhibitor IIに安全性リスクの異なる兆候を見出しました。そこで代替化合物への製法変更を試みたところ、これまで知られていなかったオフターゲットのサイクリン依存性キナーゼCDK8/19の阻害が膵島様細胞集団の誘導に重要な役割を果たしていることが明らかとなりました。この知見に基づいて、CDK8/19阻害剤を取り入れた独自の誘導法を確立し、より安全性の高い膵島様細胞集団を得ることに成功しました。

この研究成果は、2023年1月5日(英国時間)に英国科学誌「Stem Cell Research & Therapy」にオンライン公開されました。
リンク(外部サイトに遷移します)

◆◆◆◆◆◆◆◆

iPS細胞由来膵島細胞 (iPIC) について
iPICは、CiRAの豊田太郎講師(参考:豊田グループのウェブサイト)が見出した膵分化誘導法を土台に、T-CiRAプログラムでの5年間の研究を経て開発された、細胞治療への応用に適したヒトiPS細胞由来膵島細胞です。iPICは、成熟した膵β細胞様の細胞を生体の膵島と同程度に含む高純度の膵内分泌細胞凝集塊です。移植後、生体内でグルカゴン陽性細胞を含んだ膵島構造を形成し、血糖値の変化に応答した生理的なインスリン分泌能を発揮することで、移植後の糖尿病患者さんの病態コントロールに役立つと期待できます。

◆◆◆◆◆◆◆◆

<オリヅルセラピューティクス株式会社(OZTx)について>
2021年4月に京都大学イノベーションキャピタル株式会社によって設立されたOZTxは、「科学の無限の力で世界により良い健康への希望をもたらす」というビジョンを掲げています。患者さんに細胞医療を届けるために、以下の事業内容を通じて、再生医療等製品および革新的なiPS細胞関連技術の社会実装を推進します。
1. 細胞移植による再生医療等製品の開発
2. iPS細胞関連技術を利活用した、創薬研究支援および再生医療研究基盤整備

◆◆◆◆◆◆◆◆

オリヅルセラピューティクス株式会社 広報担当
お問い合わせフォーム